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麦草峠(八ヶ岳)はまだ冬だった

 長野・群馬県境から甲府に抜ける山岳ツアーにST氏が誘ってくれたので参加することにした。
群馬・長野県境といえば、迷走を繰り返し群馬県の御巣鷹山に激突した日航機事故の現場近くだ。群馬・長野県境のぶどう峠から南東方向約6kmに御巣鷹山(1639m)が望めるはずだし、また長野県南相木村の馬越峠から東北東方向約10kmに見えることになる。御巣鷹山の南東方向4kmには埼玉、群馬、長野3県の県境をわける三国山(1818m)があり、さらに南方向9kmには千曲川源流をかかえ、埼玉、山梨、長野3県の県境をわける甲武信岳(2475m)もある。

 主なルートは佐久高原から、一旦、群馬に入り、また長野側に戻って、この三国山と甲武信岳の西側の裾を回って甲府に至る本格的山岳コースだ。
 この企画に便乗して5月2日に茅野から八ヶ岳横断の麦草峠越えコースを加えた。標高795mのJR中央線茅野駅から、R299に沿って、蓼科高原を抜けて標高2127mの麦草峠まで標高差1330mを登る山岳コースだが、斜度はそんなにきつくない。


  残雪とガス、寒気の八ヶ岳横断 (5月2日)

 自宅発5:40。武蔵小金井発6:20。高尾発7:05。8:40甲府8:53。茅野駅 (10:04〜11:00)。
 甲府では猛烈な雷に見舞われ土砂降りだったが、茅野に到着しても雨は激しく降っていた。小降りになるのを待って出発。ほぼR299に沿って走る。この道は八ヶ岳を東西に横断している唯一の国道だ。
 標高1065mの集落では桜が満開。残念ながらまた雨。蓼科の横谷を通過(12:10、1216m、18km)。蓼科高原を抜けて1500mになると冷気を感じるようになる。

 バス停「渋川口」のある奥蓼科温泉入口(13:00、1580m、24km)では休憩中にみるみるガスに取り巻かれてしまった。1776m地点で道端に残雪が現れる。高度1820m地点(13:40、28km)でガスが晴れ、薄日が射してくる。国道脇の路肩に残るカラマツの落葉がおびただしい。日向地場展望台(1950m、30km)に到着したが、下界は何も見えなかった。
 そして、あたり一面残雪の世界となった。

 さきほどの雨が残雪の上を流れ下っている。そういえば青森県の八甲田山でも同じような光景をみたことがあった。高山の春先の独特の現象だ。
 標高2127mの麦草峠に到着(14:40、34km)。登り4時間として 15時ごろの到着を予定していたが、少し早かった。それでも平均時速7kmのゆっくりした登りだった。麦草山荘前のお花畑のほぼ半分はまだ雪の中。その雪に足を踏み入れると、かなり潜ってしまう。山荘から登山客がでてきたが、すぐに引っ込んでしまう。汗が引くと寒さが襲ってくるので長居はしていられない。

 下りは5m先しか見えないガスのなかだ。4月末に事故に遭ってボクのランドナーのフレームが壊れた関係で、急遽、S氏のスポルティフを借りてきたので慎重に下る。
 ブレーキの加減が甘く、難しい。登ってくるクルマはハザードを点けている。たちまち手が冷たくなり手袋を換える。雨具の隙間から風が入りバタバタとうるさいし、寒い。気温は体感温度3度位だろうか。ヘルメットについた水滴が滴り落ちる。眼鏡も水滴で見えなくなる。はずすと今度は目が、ねっとりと重くなる。

 ガスだけではない、路面も荒れており、スピードが出せない。最近の国道は荒れるにまかせて、ろくに補修されていない。レストラン「ふるさと」から松原湖方面を取り、海尻でR141に合流。ようやく海ノ口温泉の和泉館に到着(16:30、58km)。とにかく寒かった。真冬に戻ったかのような八ヶ岳の下りだった。八ヶ岳横断は高度との闘いというより、寒さとの闘いだった。アルカリ温泉に飛び込み、ほっと一息つく。
 


  スポルティフでダートの余地峠はきつい (5月3日)

 朝の散歩で茅場と出会う。いまでは見向きもされないが、昔は茅葺き民家の屋根に使われたものだ。あたりはカラマツ林に囲まれた静かな里で、その芽吹きが美しい。温泉井戸からはもうもうと湯気が上がり自噴の湯があふれ、小川のように湿地に流れ込んでいる。ウグイスは盛んに鳴いているが、春はまだこれからだ。ここは南牧村で標高1049m。海ノ口という奇妙な名前はどこから来たのか。何億年前はこのあたりは海だったからという、半信半疑の説明を聞いて宿を後にする。千曲川沿いの風景も、残雪の八ヶ岳をバックに沿道のサクラが前景となって素晴らしい。緑の千曲川と青い空、残雪の横岳から赤岳も遠望できた。
 海ノ口から19km走り、小海線「海瀬」駅着(900〜9:50スタート)。駅へのアプローチがわかりにくく、キョロキョロしていたら、先着組が手を振ってくれて、無事合流できた。

 S氏は中央高速の渋滞につかまり集合時間に間に合わないというので、待ち合わせ場所を今日のコースの途中にある十石峠に変更して、海瀬駅(9:50)をスタート。
 武州街道を東に向かい、まず余地峠(よじ)を目指す。やがて一般道は通行止めとなり、シングルトラックが現れる。きついダートの登りの始まりだ。大汗をかいて余地峠着(11:20、1277m、30km)。ダートの登りも苦しかったが、下りもさらに苦しい。細いスポルティフのタイヤが柔らかい地面にめりこんだり、砕石のように尖った石屑が散乱し、乗って下れる状態ではなく、とても苦しめられた。今回のツアーを企画してくれたST氏はMTBの本格派で、こうしたオフロードを登り下りするという。これにはついてゆけない。

 大上峠(12:42、1109m)を通過し、明るい古谷渓谷のダムから群馬県境の十石峠に登る。これも長い。
 十石峠着(1356m、45km、14:10発)。峠で待っていたS氏と合流して、神流川流域の豪快な下りに入る。道路は天望山の中腹を大きく巻いて下り、やがて黒川に沿うようになる。
 路面は最高だが、マイカーとバイクがうるさいし道幅が狭く危険だ。それでも標高差700mの下りは今日のハイライトとなった。
 明ケ沢着(14:40、659m、60km)。直進すれば、御巣鷹山の「慰霊の園」に至るという標識もある。上野村だ。
 ここから塩之沢を北上し、塩之沢温泉「国民宿舎やまびこ荘」まで登る(15:30、64km…海瀬からは45km)。登坂合計は4回、1100m。メンバーは5人。

 


  ぶどう峠から信州峠へ標高差1900mを登る (5月4日) 

 国民宿舎発(8:40)。御巣鷹の尾根への分岐を過ぎ、神流川を遡上して群馬・長野県境のぶどう峠へ900mの登りだ。周辺の田舎の風景を楽しみながら進む。緑のなかにほんわかとヤマツツジが綺麗だ。つずら折りを登った標高1000mには、北沢シオジ原生林があった。上野村楢原の植物群落保護林となっていてシオジの木肌が美しい。御巣鷹の尾根が眼前に見えるところに小さな観音堂があり、そこで鎮魂の祈りを捧げてから、少し登ると、ぶどう峠だった(11:34〜12:30、1505m、20km)。

 長丁場だったが、のんびりと登ってこれた。峠からは、はるか真西に八ヶ岳が見える。ここから相木川沿いの県道124を西に下り、川又で南東方向に折り返して、南相木川沿いの緩やかな登りに向かう。エアポケットのような立岩湖(13:40〜14:10、1093m、43km)でOさんと合流する。

 川又から馬越峠までは700mの登りだ。ゆっくりと登り切って天狗山の東側にある馬越峠に着く(15:18〜16:20、1615m、50km)。
 Sさんが大幅に遅れる。彼を宿のクルマでピックアップするために携帯電話が使える大深山地区まで下り、K氏が千曲川の橋のたもとから救援車を依頼する。
 原地区で後続を待っていたら数人のローディーが挨拶をしてゆく。近くの別荘をベースにパスハンを楽しんでおり、今日はもう「売り切れ」だという。こちらもそれに近いが、さらに信州峠への登りが控えている。原(17:00)を発ってのびやかな峠への道を310m登り、信州峠(17:55、1470m、66km)へ。名前がいい。ここで信州に別れを告げ、甲斐の国へと下る。

 塩川沿いの甲信林道(県道610)を250mほど下ると、見落しそうな分岐のシングルトラックを黒森鉱泉へ分け入る。茫々たる山道を押し歩いて鉱泉着(18:10、1228m、68km)。ここは秘湯中の秘湯らしいのだが、シャイな男の子が迎えてくれたのは意外だった。別棟の鉱泉は赤茶色で、薪で追い炊きをしてくれる。若夫婦がもてなす山菜の天ぷら、季節はずれの松茸、イノシシの甘辛煮、岩魚の塩焼き、ほうとう風つけ麺、どれもうまかった。もちろん地酒も。

 


  秘湯から木賊峠越えで昇仙峡へ (5月5日)

 山の料理が美味かった黒森鉱泉(8:00)をあとにする。降りきったところで韮崎に向かうS氏と別れ、直ちに登りだ。谷筋、山肌を問わず巨岩がゴロゴロしている。瑞籬山(みずがき)を形成しているあの巨岩がいたるところにある。突然、キツツキのドラミングが聞こえてきた。「キツツキのドラミング 時速5キロの背中押す」としゃれてみたが、息があがりそう。
 日本百名山のひとつ瑞籬山への登山口、瑞籬山荘(9:20、1527m)で一息入れる。ここまでマイカーでやってきた登山客がたむろしている。
 ここを増富方面に下って、木賊峠(とくさ)への分岐(9:30、1291m、9km)。ここから400mの登りで木賊峠(10:46〜11:10、1670m、15km)だ。峠からは端麗な富士がうっすらと見えた。空気が湿っているせいだ。
 ここでルートを変更。登りなしで昇仙峡に下る快適コースだ。もう登りはいいだろう。下り始めてすぐに、金峰山と瑞籬山の立派な全容が見えた。

 1000m地点(11:48、27km)で落石により通行止めとなっている道路に入る。裏昇仙峡だという。渓谷美と山容が素晴らしいので休憩とする。
 荒川ダム湖を経て昇仙峡の仙娥滝の上に出る(698m、13:00、35km)。
 滝見物のために自転車をデポして遊歩道を下る。いやはや凄い人出だ。気温は24度、暑い。昇仙峡の観光道路を歩行者の間を縫ってゆっくりと走り、甲府へ向かう。湯村温泉前で笹子峠越えランのため石和温泉に向かうOさん、Mさんと別れる。残った3人は湯村温泉(14:00、49km)で汗を流して、甲府駅へ(15:00。333m、53km)。

 駅で輪行支度をしていると人だかりができてしまった。なかには「羨ましい」という人もいた。辛かったことは確かだけど、人ができない充実感がたまらない。

 4日間で延べ247kmと距離は少ないものの、登坂した標高差の合計は5,030mとなり富士山の高さを軽く越えてしまった。
 甲府から鈍行に乗り、下車駅からライトを点けて帰宅(19:00、57km)。

            本格的山岳コースを連日踏破 走行距離  登坂高 
2006/05/02  茅野から八ヶ岳の麦草峠に登り、残雪のなか震えあがる。下りはガスのなかを文字通り五里霧中。海ノ口温泉に飛び込む。  58km  1330m 
2006/05/03  海瀬から余地峠に登り、大上峠、十石峠を経て群馬県に入り、豪快なダウンヒルを楽しんで塩之沢温泉へ登り返す。  64km  1100m 
2006/05/04  御巣鷹の尾根に祈り捧げたぶどう峠から長野県へ。馬越峠、信州峠を越えて、山梨の秘湯黒森鉱泉へ。  68km 1900m 
2006/05/05  瑞籬山荘からいったん下って木賊峠に登り、今度は下って昇仙峡へ。甲府・湯村温泉まで。   57km   700m 


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