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北国街道を行く    2009/5/01-04

 長野から日本海へ抜けるルートには大きく二つある。一つは大糸線沿いの「千国街道」。もう一つは「北国街道」で、ほぼ千曲川に沿いつつ、善光寺、野尻湖などを巡り、古来から佐渡の「金」の運搬、参勤交代、善光寺詣りの道として往来があったという。 今回はこの北国街道に沿いつつも、千曲川や善光寺、野尻湖といったスポットを訪れつつ、幾つかの峠越えをも加えた、佐久平から直江津までの3泊4日の自転車旅となった。

                   ⇒ このルートをGoogle Map で見る

カラマツ芽吹く地蔵峠から松代へ

 1日目。Kさん、Oさんと佐久平駅で合流、今日は夏日で今シーズン初の半パンと半袖姿で10時20分発。
 佐久の標高は700メートル。左手にすこし霞がかかっているものの蓼科山から編笠岳までの八ヶ岳連峰がきれいに見える。右側には残雪の浅間山。4キロほどで小諸に入り、千曲川のほとりの小諸城址「懐古園」を訪れる。新緑が眩しく、その木立の間から千曲川が光っている。島崎藤村の歌碑などもある。
 続いて小諸インターを経て東御市に入る。日本ロマンチック街道だ。北国街道の海野宿や、湯ノ丸高原もある。春霞の向こうに残雪の北アルプスが浮かんでいる。
 走行開始25キロで上田市に入る。石清水の日本棚田百選の一つ信州稲倉の棚田が美しい。棚田の向こうに穂高連峰も霞んで見える。
 眼下には上田市が盆地のなかに広がっている。2時すぎ入軽井沢(40キロ)。標高980メートルで地蔵温泉十福の湯(45キロ)。カラマツの芽吹きが美しい。3時半に新地蔵峠に到着(48キロ、標高1034メートル)。
 ここから一気に標高差550メートルを下り、松代に着く(4時40分、標高350メートル)。田園地帯ながら、いい雰囲気を醸し出している。大きな公社経営の国民宿舎「松代荘」だ。
 佐久平からの走行62キロ。たいした登りもなく、ほどよい疲れで初日を終わった。(2009年5月1日)。




 善光寺詣りなどしながら野尻湖へ

 2日目、出発は8時40分。千曲川の松代大橋を越える。大きな橋だ。川中島古戦場を訪れる。「執念の石」、「逆さエンジュ」、「三太刀七太刀の跡」など、嘘と誠を取り混ぜて、まことしやかに古戦場の伝説を作りあげている。巨大な佐久間象山の銅像にもびっくり。
 犀川の丹波島橋を越える。ここまでの広大な地域が本当の古戦場。長野市内に入るとハナミズキが美しい。
 通りすがりだが、善光寺詣りをしてみる。こんなに善男善女がいたかと思うぐらい凄い人出だ。なにしろ7年ぶりの「御開帳」だ。山門に上がるにも、内陣を拝観するにも、前立本尊と結ばれた回向柱に触れるにも、どれも長蛇の列が続く。
 11時半、浅川ルートラインに入り、戸隠を目指す。真光寺のダブルループ橋からはどこかのスキー場が遙かに見え、長野市街は霞んでいる。ブランド薬師がループ橋を見下ろしている。八櫛トンネル、続いて長さ1000メートルの飯縄トンネルを抜ける(20キロ、12時)。
 テレビで云っていた通り、7月上旬の暑いなかを行く。中曽根(25キロ、標高774メートル)を過ぎ、標高830メートルで15キロの長い戸隠高原だ。標高900メートルの地点に1998年長野冬期オリンピックのボブスレーとリュージュ会場が現れる。全長1.3キロ、高度差113メートル、最高時速130キロと記されていた。
 標高1075メートルで、飯縄高原スキー場(1時20分、28キロ)だ。ここで左折し、戸隠を目指す。途中、大座法師池前の蕎麦屋で休憩(31キロ、1時半)。
 飯縄山登山道入口を横目に、中社までの登りが大変だ。旧道なので傾斜が10%はあるだろう。宿坊や蕎麦屋、それに春の花木など戸隠の独特の風景に癒される。
 奥社への入口(標高1222、43キロ、4時)まで頑張り、あとは野尻湖への下り。午後5時、野尻湖到着(63キロ、標高668メートル)。のどかな雰囲気だ。かつては北国街道の野尻宿として栄えたところだが、大地震と大火という2度にわたる災害に見舞われ、現在はその面影すら残されていない。
 宿は民営の国民宿舎「杉久保ハウス」というが、これは民宿だ。なるほど国民宿舎を縮めるとそうなる。ほとんどの客は素泊まりだ。これには驚く。飯が高いから家族連れも外食で済ませるのだそうだ。地酒の「松尾」がうまい(2009年5月2日)。




雪中行軍で関田峠越え

 3日目の出発は8時。野尻湖周遊路を行く。なかなか魅力的な周遊路で、高みから湖面と黒姫や妙高の姿を一望できる。
 特に静寂に包まれた奥野尻湖はいい。カラマツの芽吹きが美しく、妙高が前山の裏で頭一つ突き出している。
 トラクターを操りながら野良仕事に向かう90代の農夫、清らかな清流、すみれ、水仙、のどかな日本の田舎の風景が広がる。信濃町の古海だ。
 残雪の斑尾山、スキー場、ゴルフ場を過ぎて、高度922メートル、万坂峠でいったん新潟県妙高市に入る(10キロ)。ブヨがうるさい。道端に残雪。信越トレイルというハイキングルートを目指すグループもいる。
 斑尾高原のペンションがひしめいているが、連休中なのに客はほとんどいない。斑尾スキー場(9時40分、14キロ、1004メートル)。
 ここから600メートルのダウンヒルで飯山市内(347メートル、10時15分、15キロ)。千曲川の中央橋。千曲川も大河となりました。
 続いて野沢温泉への登り、意外と厳しい登りを経て野沢温泉に入り、少々の休憩で今度は下って、また千曲川と出会う。湯滝橋のたもとで休憩。雪解け水を集めた千曲川の水はまだ十分に冷たい。近くには戸狩温泉もある。
 ここから、関田峠への長い登りが始まる。4時間は覚悟していたが、ほぼ3時間で上れた。時速4キロの登りだ。ゆっくり、ゆっくりと。
 次第に残雪が多くなり、峠は通行できないとの標識も現れる。「残雪ツアー」の観光タクシーが客を運んでくる。マイカーも峠の手前でユーターンとなる。
 とてものびやかな山の景色で、雪形模様も美しい。あちこちで雪解け水が音を立てて流れている。遠くに大きな滝も見える。木々は雪の重みで根元が曲がりながらも健気に立ち上がっている。相当の積雪がある関田山脈を越えようとしている。
 ボクらは残雪で覆われた道路を自転車を曳いて登る。数10センチから多いところで1メートル以上も残雪で覆われたままだ。ガードレールのロープは雪崩で切られないよう外してある。雪の中の自転車押し上げはとても辛い作業だ。なるべく路肩の雪のないところを通るようにするが、それすら出来ないところもある。距離にして2〜3キロ、苦闘の「雪中行軍」で、遂に関田峠に到着(1111メートル、4時)。
 あとは一気に豪快な下りだけ、慎重に路面をみて600メートルほどを下る。
 上越市板倉というところの「ゑしんの里やすらぎ荘」着(5時、走行距離78キロ、最高速度56キロ)。ここは平地での積雪量日本一の8メートルの記録もある豪雪地帯だ。
 「ゑしん」とは親鸞の妻「恵信尼」の出生地にちなんでいるとか。夕方のホテルの温泉からは、水が張られた田んぼで、田植えにいそしむ農婦が一人。山里の田園風景が広がる(2009年5月3日)。




コシヒカリの里を直江津へ

 最終日はリーダーのKさんと話し合って自由行動にした。彼はもう一つの峠、西野谷と「よもしろうの滝」を越えて行くルートを予定している。残雪が多そうだが、どうか。以前に同じルートを目指したようだが、道を間違え、途中でショートカットし、今回はそのリベンジだという。
 ボクとしては、いくつもの峠を越え、ようやく高田平野に入ったのだから、峠はもういいし、北国街道を走っているつもりのボクにとっては、直接、直江津を目指したい気もあるからだ。
 というわけで、同行の二人とは「ゑしんの里」で別れた。もう一人のOさんは、「フリー」の調子が悪く、荒井まで行き、様子を見るという。
 下り一方の走りやすい道だ。ちょうど田植えの真っ盛りで、水入れ、田起し、田植えとそれぞれ忙しい時期を迎えている。
 あるところでは、田起しのトラクターが泥にはまりこんで動けなくなり、応援のトラクターに牽引してもらっていた。広大なコシヒカリの里だ。
 田植え前の可愛いコシヒカリの苗が見事に育っている。ハウスの中だったり、露地だったり様々だ。これはメタノールでの培養苗だと農夫が説明してくれる。最近の品種改良技術の進歩と受け取ってよいのだろうか。
 妙高、火打岳、焼山からなる連峰が、高田平野を取り囲むように真っ白な残雪を戴いている。
 火打岳の名を教えてくれた78歳の農婦に呼ばれ、お茶の接待を受ける。彼女は何度も「東京から自転車で・・・」を繰り返していた。「私は、ここから出たこともないですよ」とも・・・。
 このあたりは昭和20年には4メートルにせまる積雪があったとかで、今も冬は30センチの雪の平野となるという話だ。もう歳なのでと、昔は1町歩やっていた田んぼを今は「小作」にだしているという。
 廊下には、ゼンマイが干してある。屋敷内の草取りだけでもたいへんとこぼす。
 農家を辞し、だだっ広い田園地帯をひたすら直江津港めざす。国道を避け、ローカルな町や田畑を縫ってゆく。
 やがて直江津港に着く。港の桟橋では、休日の釣り客が糸を垂れている。韓国人のグループも釣りをしたり、バーベキューを楽しんでいる。
 直江津港はLNG受入基地の建設が進んでおり、エネルギー港湾を目指しているほか、釜山や佐渡行きフェリー、天津や大連、釜山とのコンテナ航路を持つなど国際港湾でもあるのだが、客船の姿は見えず貨物船が1隻わびしい姿をさらけ出していただけだった。
 直江津駅には11時半に着いた。Oさんが先に着いており、輪行支度の真っ最中だ。
 ボクも輪行にかかり、昼過ぎの越後湯沢行きにゆっくりと乗ることができた。頸城の押し寿司という珍味を食べる。これは美味い。富山の鱒寿司の上をいっている。
 本日の走行43キロ。佐久平〜直江津間の合計走行距離は238キロとなった(2009年5月4日)。







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