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道北巡り

2014年6月



   ●石狩川から美深峠

6月末の旭川は雲ひとつない快晴だった。旭川空港郊外の道路には、ラベンダーやルピナスが咲き、抜けるような光景が広がるなか、石狩川を目指す。

「秋月橋」には、石狩川の名前の由来が書かれた看板に、「アイヌ語のイシカラ…曲がりくねった川」とあった。この語源のように、石狩川の河口部には、かつて大きく蛇行して石狩湾に注いでいた長さ10キロにも及ぶ「三日月湖」茨戸川が今も残されており、往時を偲ぶことができる。

石狩川は、長さ268kmを誇る全国第3位の長大河川だ。その広大な流域で、永山新川に迷い込む。地元のサイクリストに助けられて石狩川に戻り「右岸」を行く。右手に大雪山塊を見ながら層雲峡まで走る。道の脇を流れる石狩川はすでに源流の趣で急流だ。




 標高600mの層雲峡から平均時速22kmでダウンヒル。途中の国道には真冬の地吹雪除けの柵が随所にあり、難所だ。愛別町にはJRの「愛別駅」がひっそりと存在。日に数本の列車しか停まらない。標高270mの塩狩峠には三浦綾子の同名の小説の碑が建てられていた。

温根別から、朱鞠内湖に向かったが、湖面は深い原生林に囲まれていた。
マイナス41℃という全国一の寒さを「売り」にしている母子里を通過。コミュニティーセンターは完全に崩壊しており、野の花と廃屋の姿が痛々しい。

斜度5%程度の緩い坂道をグイグイとペダルを踏み込み、約4kmの登坂で標高450mの美深峠を越える。



   ●天塩川から宗谷岬



天塩川の広い流域では、川が残した「三日月湖」と遭遇。
牧草地の向こうに利尻の山が見え始める。海を隔てているが、海は見えないので陸続きのよう。

あと数キロで豊富温泉だが、本当に温泉があるのかと思うほど遠い。宿には、遠くは熊本からアトピーっ子のファミリーが長期滞在していた。他にもいかにもアトピーという若者もいて、8割以上が良くなって帰って行くという全国的に有名なアトピーに効く温泉。

浜頓別を経て猿払まで。「熊に注意」の警告を無視してクッチャロ湖畔を目指す。エゾシカの親子と出会う。やがてキタキツネを見かける。痩せて、夏毛に変わる姿が見苦しい。

道路の端っこに、クマの糞溜りを見かける。熊のテリトリーだ。廃線を利用したサイクリング道路は荒れ果てており、遂に行く手を阻まれ、国道に出て、猿払へ。
 
猿払から稚内へ、漁港ではホタテの陸揚げに余念がない。ホタテの産地で、「ホタテ御殿」が軒を並べている。
エゾカンゾウが咲いている。ピンク色のハマユウも咲いている。
雲が低くたれ込め、北の海を思わせるが、海は凪ぎだ。
最北の宗谷岬に至る。間宮林蔵が迎えてくれた。「最北の小学校」と「最北」を掲げる看板が続く。

   ●稚内から利尻一周




海の向こうに利尻が見えだしたが、利尻山は雲の中。
「自衛隊の皆さまご苦労様」の看板が立つ。ロシアの動きを見れば、あながち否定出来ないのが、道北の現状。稚内の道路案内標識にロシア語もある。

フェリーで利尻に渡り、利尻山神社に詣でる。サイクリング道路に乗り、リヤウシナイ川に架かる標高142mの湾内大橋からの眺めが素晴らしい。鴛泊から時計回りにサイクリング道路を行き、一般道を鰊泊、鬼脇、南浜、仙法志、蘭泊、沓形からサイクリング道路に入り、利尻の裾野を行く。利尻昆布の収穫と「昆布乾し」を見る。砕石の上に広げられて、美しい。午後遅く、雲が切れ利尻が微笑んでくれた。利尻富士温泉に行く。露天風呂が気持ちいい。

宿の料理は、新鮮な地元の食材を豊富に使い、タコの口、圧力鍋で煮込んだ利尻昆布の甘いものなど味も良い。冷酒「男山」もよかった。

宿の前の「利尻の自然写真展」を見に行く。利尻に移住して時間をかけて本格的に取り組んでいる作品は、どれも見事。カメラマンは目の澄んだ男だった。

   ●満開のエゾカンゾウ…オロロン街道

稚内に戻り天塩に向かう。海岸部に出てひたすら漕ぐ。利尻礼文サロベツ国立公園。公園入口で立ち止まれば藪蚊の攻撃だ。湿原の一部を利用した「コウホネの家」でコウホネやハマユウを楽しむ。ヨーロッパ系のカップルとすれ違った。

エゾカンゾウ、ハマナスが満開で、道端にどこにでも見られる。咲き誇る様は、種毎の厳しい生存競争もあり面白い。風力発電が20数基並んでいる。故障しているもの2基。大型クレーンで修理している。

とても幅広い天塩川の河口大橋を渡り、河口部の宿「夕映」へ。海に浮かんだ利尻と落日が綺麗だった。初山別では、海に浮かぶ利尻も美しかった。切り立った海岸線が連続して続いており、独特の景観だ。

羽幌町に入る。「オロロン街道」は沖合の天売島に棲息しているオロロン鳥が由来。この町で自衛隊の上陸用の水陸両用車を見かける。艦船に搭載して、離島を守るのか。着々と装備を充実させている様子。今日の北海道新聞のトップ見出しは「北海道にオスプレイ初飛来」だった。小平(おびら)にはとても大きな鰊の番屋があった。別名「鰊街道」とも。

   ●余市から小樽へ



古平から余市に向かう。余市ではニッカウイスキーの余市工場を見学。余市駅から内陸に廻り、フルーツ街道を探しながら迂回路に入る。これが大正解で、安全なルートだった。

小樽の手前で少しの雨に初めて出合った。午後2時頃、「ヤマト運輸小樽センター」に到着。自転車を解体、自宅送り。総走行距離は823kmとなり、800kmを越えた。

その後、虚脱状態で運河を約3kmを歩いて宿へ。
紹介してもらった宿の近くの「万来」で打ち上げ。地元民に人気の店だった。


   ●剣淵と映画「じんじん」

町おこしで「絵本の町」と称している剣淵町の「剣淵温泉」に泊まり、「絵本の館」に行く。夢を育むようなしゃれた建物だった。この町で映画「じんじん」が撮影されており、帰京後に観た。

剣淵の現地撮影がどの程度に映画に反映されているかに興味があったのだが、「じんじん」はそうした期待を見事に裏切る素晴らしい映画だった。

女子高校生が剣淵の農家に体験就学旅行でやってくるという設定で、そこに農園主(佐藤B作)の友人の大道芸人の風来坊(大地康雄)も来て、不思議なストーリーが展開する。

ごく普通の女子高生に交じって、心を開くことのない女子高生、日下部彩香(小松美咲)。農園主の息子が聞き出したところ、風来坊がその娘の父親と言う。しかし風来坊のほうは、その娘が我が子ということに気づいていない。

息子からそのことを聞いた農園主は風来坊の銀三郎に伝える。意外にも銀三郎の過去の離婚で娘を引き離されたことがわかってくる。

銀三郎と娘の子ども時代の話を聞いた農園主の計らいで、剣淵の創作絵本コンクールに応募するよう勧める。銀三郎は応募に応えるために、娘に理由を告げずコンクールに参加するよう迫る。そして、娘の幼い頃に語った話の続きを絵本に作る努力を始める。

娘の様子がおかしいことに気づいた母親は、元夫と娘が北海道で出会ったことを知り、銀三郎を呼び出し、今の生活を壊さないでと迫る。

創作絵本は出来上がったのだが、元妻に迫られた銀三郎は、コンクール出品を断念。なにも知らない娘はコンクールに参加するのだが、実の父に騙されたと誤解する。剣淵の風景のなかで、偶然、父と娘は出会い、出品することのなかった絵本を「一人だけの読者だ」といい、娘に渡して去る。娘は銀三郎を見送ったバス停で絵本「クロコダイルとイルカ」のページを繰る。

剣淵の絵本の読み聞かせなど絵本の里のまち興し、家族のありよう、道北の風景などカメラワークも美しく、タイトル通り「じんじん」と来る映画で、北海道が一段と好きになった。




 


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