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青森回遊470キロ

 
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  ウミネコは北海道旅行中
 
 紅葉最盛期の青森を巡る旅は八戸駅(11時発)から始まった。まず蕪島へ向かう。同行はTさんとSさん。陸奥湊駅前は昔ながらの雰囲気が残っていて生活感あふれる市場だ。蕪島のウミネコは北海道旅行をしており留守。かわりに美人の巫女がいて、繁殖のために島に居るのは5月から7月までとウミネコの生態について話してくれる。太平洋側の八戸港岸壁には巡視船「しもきた」が停泊していた。
 
 国道454を西へ。道端のコスモスが可愛い。ススキの穂が西日に反射して白く輝いている。路面状況まことによろしく、田んぼの稲の「はさかけ」のやりかたも変わっており、東北に来たことを実感する。
 14時、五戸町を通過し、三戸郡新郷村大字西越字温泉沢の新郷温泉着(16時40分、走行距離70km)。泊まりは我々だけ。地元の人たちの日帰り温泉だった。(10月14日)

  展望台からの十和田の絶景

 新郷温泉発6時半。途中ダートを経て約4kmで国道に戻る。道端には栗や山桃の実が落ちている。天候は申し分なく、空には白い雲が浮かび、青空が広がる秋の空だ。十和田湖へは標高350mの峠を越えて行く。真っ赤なナナカマド、黄色いカエデ。20km地点で五戸川源流を通過する。
 迷ケ平(まよいたい)は高度613mの高原で紅葉も美しい。ルートはしばらく秋田県に入る。「奥羽山脈緑の回廊」をPRする看板がある。八甲田周辺から蔵王周辺まで約400kmにわたり東北森林管理局が設定したという。
  
 遠く錦秋の山々と十和田の青い湖面が美しい。10時、標高差300mを下って十和田湖(標高400m)の入り口、東湖に到着(31km)。二重カルデラの十和田湖は最深327m、湖周53km。ブナ、カエデ、カツラが混在する自然林が周りを取り巻いている。そのブナの木肌が太陽に反射して光っている湖岸をせりあがったところでブナの巨木が迎えてくれた。湖面から垂直に立ち上がっている白い断崖と紅葉のコントラストも美しい。湖面から蒸発した水分が冷たい空気に冷やされて、靄となってごく薄いベールのように広がっている、幻想的だ。
 
 展望台では眼下に広がる十和田湖、コバルトブルーの湖面を取り巻く山々と半島もすべて見渡せる。赤い紅葉、黄色い紅葉、白い雲、そして青い空。遊覧船が遠くに半円を描きながら次のスポットに向かっている。光線の角度もちょうど良く、何度かのシャッターを切る。
 
 休屋で「乙女の像」を見に行く(11時40分)。次いで国道103号をたどる。キラキラと光りながら枯葉が舞い降りてくる。ホオバの大きな葉は道路に落ちて乾いた音を立てている。それ以外はなにも聞こえない静寂が支配している。滝の沢峠着(13時20分、59km)。次いで最高地点の御鼻部山(1011m)では午後の光のなか、西向きの展望台からは霞んだ光景が広がる。十和田湖周回のしんどさ、その長さをここで確かめる。
 
 ここから標高差600mを一気に下る。ほとんど紅葉のトンネルの中といった趣きの道路で時折クルマとすれ違い、緊張の連続。瞬間時速は55kmが記録された。こうして長い登りのあとの至福の時間はあっという間に過ぎ去っていった。子の口着(15時、80km)。
 本日のもうひとつのハイライト、奥入瀬を下る。標高が低いせいか紅葉はほとんどみられない。十和田湖からの清流は時に静かに。時に激流となって流れ下る。
     
 途中「銚子大滝」と呼ばれている落差数メートルの滝や、両サイドの断崖から細くて長い滝も落ちている。これに紅葉の彩りが加われば、なお素晴らしいだろう。ただし道路はマイカーと観光バス、路線バスが行き交い、雰囲気を著しく壊している。14kmの奥入瀬下りを終えて焼山の宿、民宿「桂月」着(16時半。標高215m。94km)。(10月15日) 

  美しいブナの八甲田連峰

 スタートは7時。道は蔦川に沿って緩やかに上ってゆく。2キロを過ぎたあたりから急坂を登って湯の台方面をめざす。ここから酸ヶ湯までは18km。一汗、約40分の急登で避難小屋が寂しく建っている標高465mの台地に出る。
 
 真正面に高田大岳と雛岳が見える。標高550m地点のブナの紅葉はとても美しい。仙人平の分岐(9km、8時40分、標高650m)を経て103号線に合流。ブナの黄色が強く自己主張している。白い肌と黄色い紅葉が明るい林相を作りだしている。
 
 9時半すぎ猿倉温泉を過ぎて標高は900mを越える。睡蓮沼は八甲田連峰をバックにのびやかな雰囲気。笠松峠(10時20分、標高1040m、17km)からの大岳(1584m)はたおやかで意外に低く見える。
 
 ダケカンバの裸木が美しい地獄沼を経て一般観光客でごった返えす酸ヶ湯着(10時40分、距離21km、標高887m)。
 ここからは下り基調。紅葉は高度を下げるに従って色合いを薄めてゆく。やがて緑に。雲谷を過ぎたあたりから左方向にハンドルを切り、約5000年前の縄文前期の大規模集落跡の三内丸山遺跡に向かう。
 
 縄文遺跡(12時半、距離54km)の博物館としてはデザイン的にちぐはぐな館内を抜けて遺跡保存地区に足を踏み入れる。古代の人たちが暮らしたのびやかな風景が広がる。祭りごとのためと見られる巨大木造構築物が突っ立っている風景も面白いが、これは想像上の木造建築だ。
 
 三内から直接、津軽の東海岸に向かう国道入り口に行くルートに進み松前街道。陸奥湾の外ケ浜ではパートの女性がホタテの養殖に用いる浮き子を運んでいる光景に出くわす。色とりどりの浮き子が道路脇に積み上げられている。
 
 東津軽郡外ヶ浜町字平舘の「不老不死温泉」着(16時、98km、最高速度62km)。好天に恵まれ、今回の核心部、十和田湖と八甲田山塊を無事通過し、浮き浮きするようなサイクリングを満喫した。(10月16日) 

  難所「階段国道」を押し上げ

 スタート7時20分。津軽国定公園は1km以上も続く大きなクロマツの街道だ。道端には推定樹齢600年の「長寿の松」などもある。陸奥湾の入口、平舘海峡あたりだ。うらぶれた漁村の民家から厳しい北国の生活を偲ぶ。
 今別に入る。岩礁地帯で漁港も民家もなく荒涼としている。その名も「網不海岸」。
     
   今日の天候は高曇り。名もない岩礁をつなぐ2本の太鼓橋で遊ぶ。逃げ遅れた小魚の群れが岩礁の小さな窪みで元気に泳ぎまわっている。龍飛の手前15km地点で青函トンネルが潜っている。
 
 龍飛崎に到着したとたん、空はにわかにかき曇り、やがて雷鳴とともに激しい雨となる。太宰治の文学碑、棟方志功の「竜飛」と彫られた地名柱もこうした荒々しい天候にふさわしい。津軽のドン詰まりの不思議な風景だ。
 
 雨の中、標高差70m、362段の「階段国道」を押し上げる。上がりきった高台には名曲「津軽海峡冬景色」歌碑があり、たまに訪れる観光客が石川さおりの歌声をかけるが、風でかき消される。
 
 雷雨が去り、竜泊ラインと名付けられた国道339の続きを登る。のびやかで雄大な山岳風景が広がる。約1時間かけて標高478mの最高点の展望台まで登る(15時10分)。龍飛崎が遠く、低く見え、これから向かう小泊半島が細長く霞んでいる。山肌の木々も美しい。夕日を受けて海はが鈍色に光っている。つづら折りの国道がうねうねと山肌を這い下っている。
 
 
 Tさんは早くも下り始め、やがて赤い点となる。後に続いて豪快に下る。登ってくる観光バスもあえいでいる。そのドライバーが手を振って挨拶してくる。下り切ったところの「七ツ滝」も印象的な海岸線にあった。やがて海霧が出てくる頃、小泊に到着。民宿「権現崎」着(16時40分、距離は72km)。アワビ、イカ、その他、食いきれない海の幸が膳に並べられていた。明日、帰京するSさんとの別れにふさわしい宴となった。(10月17日)

  足もすくむ夜明けの権現崎

 夜明け前の4時半、ライトを使用しながら権現崎に向かう。林を抜けたら生暖かい海風が流れてくる。半島付け根の集落では、早朝の漁に出かける漁民が歩いている。イカ釣り船の横を抜け、高波被害による大規模な地滑りで行く手は通行止め。そのゲートをかいくぐり、先を目指す。5時、権現崎の駐車場から遊歩道を懐中電灯の明かりを頼りに登る。遠くに漁り火が見える。原生林を900m登り、海抜229mの権現崎着(5時40分)。眼下に灯台と漁船も見えるが足がすくみそう。夜明けの権現崎は迫力があった。
   
 朝食を済ませ民宿「権現崎」を7時50分に発つ。8時過ぎ五所川原市に入り、十三湖の東側を迂回する。期待した眺望はそれほどでもない。七平展望台も高度が足りず、太宰治が浅い真珠貝に水を盛ったようなと表現した十三湖ははるかに霞すんでいる。十三湖はシジミと白鳥の飛来地で知られているほか、岩木山から流れ下る岩木川がそそぐ。十三湖のほとり中里今泉(30km、9時半)。15分後、34km地点で一足先に帰京するSさんと分かれる。ボクとTさんは鰺ケ沢への道をたどる。
   
  途中の鳥谷川には飛来した白鳥が数羽憩っている。続いてゆったりとのびやかに流れている岩木川の津軽大橋を渡る。広大な河川敷には草紅葉が広がっている。
 このあたりは穀倉地帯で、銘柄「つがるロマン」が中心。脱穀したモミ殻を焼く煙がまっすぐに立ち上がっている。
 「五能線」を越えた鰺ヶ沢手前の「焼きイカ通り」では名物「生干しイカ」を食べさせる店が並んでいる。スルメイカの水揚げも日本一だ。白神山地を抱える鰺ヶ沢町に到着(13時45分、73km)。
 
 県道31号を緩やかに登って、岩木山麓を目指す。秋の虫がチリチリと鳴いている。山麓の田んぼでは主婦が脱穀後の稲藁をロール状にして畜産で使うための作業に追われている。笑顔で「どこから?」と声をかけてくる。スキー民宿「ふるさと」(西津軽郡鰺ヶ沢町長平)着(93km、15時50分、標高214m)。(10月18日)

  朝日に輝く岩木山を半周

 民宿では真空パック入りのトウモロコシをサービスしてくれた。このトウモロコシ、標高400mの山麓では「嶽きみ」という品種を寒暖差を利用して栽培しており糖度が高いという。
   
 出発は7時。すぐにネックレスロードに入る。7時の気温12度。走り初めて2kmでもう弘前市だ。ここはリンゴ街道と呼び名を変えた方がよいほど沿道にリンゴが実っている。生産量日本一のリンゴだが、品種は「ふじ」が52%。リンゴ農家は総出で採果の真っ最中。
 1200年前に創設された岩木山神社(8時20分、20km)は、大鳥居から参道がせり上がり、正面の本殿の背後には岩木山の山頂が丸く輝いている。ご神体は岩木山そのもので、「津軽富士」と呼ばれている県内最高峰の岩木山(標高1625m)を取り込んだ自然と一体になった建造物は世界遺産にしてもいいと思う。
 ここでTさんと別れる。彼はこれから岩木山に登って、最後は岩崎まで行き、彼のルートを繋げたいという。
   
 弘前城着(9時半)。50種、2600本の桜が咲き競う春のシーズンとはうって変わって、地味な城内を自転車で巡り、ついでこの地方の古民家を2軒ほど訪れる。「長勝寺構」という弘前城の造営で立ち退きになった寺を三十三寺院集めた「お寺団地」を参拝する。ここの長勝寺の三門は重文だ。
 弘前駅着(11時、43km)で、青森回遊470キロの旅は終わった。(10月19日)
 



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